台北の中心部にありながら、空が広く見える場所がある。
 そこは広大な敷地に、他の人々から忘れ去られたような空間。
 廃墟好きや古い建物好きや鉄道好きの人々にとって、たまらない場所なのでした。


台北の鉄道工場跡地である台北機廠

 日本統治時代に作られた鉄道車両を整備する工場である台北機廠。戦後も鉄道車両整備工場として使用されて、2012年まで使用されていた。現在は高鐵の延伸に支障となったため、出入りできる線路が撤去されて、鉄道車両整備工場としての用途が廃止されている。
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 元々は、一帯を再開発する予定であり、数百億台湾ドル(1,000億円以上?)になるような開発利益を上げて台鐵の累積債務を減らす予定であった。しかし、猛烈な反対運動が起きて再開発は中止。存在する建物の価値を認め、国が国家レベルの鉄道博物館を作るとということになった……のだけど、お金がないのか、あまり進んでいない気がする。
 そんな台北機廠であるけれど、一般人でも見学ができる。


見学できるけど、要予約

 見学ができるのは原則として水曜日か土曜日。
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 それぞれ午前午後の見学会があり、所要時間は2時間。
 必ずしも、開催しているとは限らないので注意。
 予約が必要でインターネットでできるけれど、日本語や英語には対応していない。けれども、大丈夫。私たちは漢字を使っている。漢字がわかればなんとなく予約できるはずだ!

 臺北機廠鐵道博物館園區ホームページ
 (導覧服務→預約導覧申請→X月份預約導覽參觀→参加したい回の「報名」を選択)

 予約の受付開始は前月20日午前10時(日本時間11時)から。土曜日(星期六)の見学会はすぐに満員になってしまうので、直前であれば水曜日(星期三)の回を狙おう。なお、各会40名まで。現地では(今のところ)日本語や英語での案内はなく、全て中国語となる。
 開始15分前までに集合場所(GoogleMap)に到着し、パスポートを持ってくることが必要。

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というわけで行ってみた

 水曜日の回だったので、直前でも予約が取れた。
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 門の前でパスポートを提示して入構。
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 高い建物が一切ないし、建物の間隔も広いので、空が広い。
 日本語と英語の案内はなくて中国語だけになるけど良いかという確認があった。
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 簡単なガイドブックをもらい(これは日本語版があった)、パスポートと引き換えで説明用のレシーバーを借りる。
 最初に講堂みたいなところで、台北機廠についてのお勉強。
 まぁ、中国語わからないから何言ってるかわからないんだけどね。
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 みんなでヘルメットをかぶって、外へ出発。
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 このように各所で説明してくれる。



 まずは建物見学。いや、全部建物見学なんだけど。
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 まずは事務所として使用されていた建物。
 2階部分は1966年に増築したらしい。
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 この廊下がいいねぇ。
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 やはり古い建物って味があるよね。
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 この窓を開けると上の窓も下がるの好き。
 今だと全く見ないよね。基本原理としては上下二段式の黒板と同じハズ。
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 大切に使われてきた感があふれてる。
 やっぱりこういった建物を保存していくっていう決断はすごいなぁ。


柴電工場

 次の見学は柴電工場。
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 柴電機車(電気式ディーゼル機関車)の整備工場として使われていたところ。
 電気式ディーゼル機関車とはディーゼルエンジンで発電をし、その電力でモーターを回す方式の機関車のこと。通常のディーゼル機関車に比べ、ディーゼルエンジンが効率的に回せるものの、重量が重くなったり構造が複雑になることなどがデメリット。近年では技術の進展により、これに充電池をかますことでハイブリッド車両として登場してる。
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 ここでは主に下回りの整備をしていて、ディーゼルエンジンとモーターはそれぞれの工場に運び出されていたとのこと。もちろん今は使われていないので何もない。
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 これは下回りをいていたピットかな。
 中に水がたまっていた。
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 工場の中は明かりがないけれど、外の光が存分に入る。
 通風性採光性を重視して作られたようだ。
 柱が鉄骨じゃなくてコンクリートなのも珍しいよね。
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 いったん外に出る。
 貨物駅(というか荷物列車ホーム)みたいな場所もあった。

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組立工場

 次は組立工場へ。
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 ここにはディーゼルカーが保存されている。
 元々台東に保存されていたDR2102、DR2203、DR2303、DR2404が2018年6月に搬入された。
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 ちょっと痛々しい姿のDR2404(だった気がする)。
 今後はこれを修復して展示物にするらしい。
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 台北機廠行きとサボがついてる。
 この状態で本線上を走ってきたというのだからすごい。
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 運転台があるのに、その反対側はトイレで前面に窓がないというのが斬新。
 これらの車両は元々日本統治時代のガソリンカーで、その後エンジンのディーゼル化や車体更新や台車の交換などが行われて、おそらく原型部分は台枠だけなんじゃねーの?ってぐらい改造されて1999年まで現役。主に北部の各支線で使用されていたようだ。
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 ちなみにトイレがない側は窓がちゃんとあるよ。
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 それと共に展示されていたCT273蒸気機関車(日本のC57相当)のボイラー。
 CT273自体は動態保存されているけれど、復活の際にボイラーを新しくしたので、古いボイラーがここに放置されていると思われる。
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 その他にも炭水車の車体なども置かれていた。こちらはDT668(日本のD51相当)のものっぽい。
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 25C10000型代用行李車。日本語に直すと代用荷物車ってことになるのかな?
 本来ならば貨車のものを荷物車として使っていたから代用荷物車なんだろうか。
 例によってこれも戦前の日本製。
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 さて、奥にも何やらいるぞ。
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 あれ見慣れたヤツが……。
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 まずはこいつEMU100型。
 台鐵の西部幹線全線電化に合わせて導入された、台鐵初の電車。
 投入当初は台北~高雄を4時間10分、全力で走ってブイブイ言わせてたわけです。
 投入されたときのあだ名はイギリス製だったので、「英國少女」。その後、年数を重ねる毎に「英國貴婦」になり最後は「英國婆仔」と呼ばれてた。ひどいな、最後はBBAだぜ。
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 そしてお隣には日本の583系。
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 行先は秋田!ただの秋田って方向幕あったっけ?
 そもそもなんでこいつがいるのかが謎。一応書いてあった説明には台湾で昔走っていた寝台車に構造が似ているからとのこと。台湾の寝台車を研究するにあたって参考になるということらしい。


客車工場

 外に出て次の場所へ。
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 まぁ、写真を見るとわかると思うけどクソ暑い。
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 ボイラー室の煙突。
 やはり広い敷地でその中に高い建物がないから、空が広いなぁ。
 さて、次は○○。
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 さきほど1両だけいたEMU100がたくさんいる。
 つーか、こんなに残す必要ある?って言いたくなるぐらい。
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 前面が警戒色かそうじゃないかで違うね。
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 中だけでなく、外にもいた。
 この車両、実は1M4Tの5両編成で、電車と言うよりも機関車と客車って感じがする。
 実際には3編成併結で運用されていたらしいので、電車であることは間違いないのだけど。
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 ちなみに事故で廃車になった物や動態保存車両以外は全部ここにあるらしいよ。
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 中にいるヤツは長期保存を考えているのかな。
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 それにしてもドアのステップがかなり低い!
 導入時はおそらくホームがかなり低かったんだろうな。
 ただホームが高くなってもそのままだったんだろうか。
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 建物内を奥に進むと今度はディーゼル機関車がいた。
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 韓国もそうなんだけど、台湾も戦後アメリカからの支援が入ったので、機関車がアメリカっぽいデザイン。
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 ただただ朽ち果てていくだけのディーゼル機関車がいた。
 何だろう、この姿がとても美しい。
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 それにしてもこの破壊のされ方は酷いな。
 普通にしていればこんな壊れ方しないだろうに。


員工浴場

 また外に出る。
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 おおー。トラバーサーや。
 最後に行くのは、員工浴場。
 いわゆる風呂場。工場で働く人たちが仕事終わった後に入るのだろう。
 古い建物好きのなかで評価が高い建物。
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 脱衣所かな?ここを抜けると浴場がある。
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 おそらくここはかけ湯コーナーだろうか。
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 そして、浴槽。
 美しいね。
 ただただ美しい。
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 南側の窓を大きくして光をできるだけたくさん取り入れる設計になっている。




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大満足のツアー

 というわけでたっぷり2時間のツアー。
 大変申し訳ないが、中国語がわからないけれど、それでもなんとかなったよ。
 鉄道好きや古い建物好きの人々は行ってみると楽しめると思う。
 今後は日本語ツアーも始まるらしいよ。
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 EMU100のペーパークラフトをもらったよ!


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